目がゴロゴロする
症状について
目の中に異物があるようにゴロゴロする症状は、目のかゆみや痛みなどの症状を伴うことも多いです。症状の内容によって疑われる疾患が異なりますので、具体的にどんな症状なのかを確認することが重要です。下記のチェックリストを参考に症状の内容を確かめてみて下さい。
目がゴロゴロする症状の
チェックリスト
- 眼球表面に異物感がある
- 目に染みるような感覚がある
- 瞼に触れると目が痛む
- まばたきすると目が痛む
- 眼球の中の方に痛みがある
- 目の奥が痛い
目はちょっとした刺激にも敏感に反応し、ごく小さなゴミが入っただけでも強い痛みを生じます。また、目はデリケートな組織であり、微細な異物によって気がつかないうちに小さな傷ができてしまうこともあります。コンタクトレンズは目に直接入れて使用しますので、長時間装着していると目の乾燥を起こしやすくなり、角膜への酸素や栄養が不足してしまうこともあります。また、コンタクトレンズにわずかな変形や破損があると痛みを生じることがあります。コンタクトレンズや目を丁寧にケアして、目の健康を守りましょう。
目がゴロゴロする原因
実際にゴミやホコリなどが入ってしまっているケースもありますが、コンタクトレンズの不適切な使用やケア不足、乾燥などが原因で、ゴロゴロする異物感を感じることもあります。まばたきの際の異物感、取れそうで取れないゴミがあるような違和感などを生じることもあり、気にして目をこすってしまうと炎症やアレルギー反応を起こしてかゆみや痛み、充血、感染などを生じる場合もあります。
目の乾燥
パソコンやスマートフォンなどの画面を長時間見ていると、無意識にまばたきの回数が減って目が乾燥します。また、エアコンは室内を乾燥させて目の水分がすぐに蒸発してしまい、乾燥を悪化させます。涙は目の隅々に栄養や酸素を届け、薄い膜を張って保護しています。涙の量が不足したり、成分が変化したりすると目が乾燥し、ゴロゴロする違和感を生じます。
コンタクトレンズ
コンタクトレンズは角膜の上を覆ってしまいますので、長時間の使用や不適切な使用によって角膜への酸素や栄養が不足し、水分も減って目の乾燥を起こします。また、コンタクトレンズの洗浄や消毒といったケアの不足や、わずかでも変形や破損のあるコンタクトレンズを使用すると角膜の表面が傷つき、ゴロゴロする異物感や痛みなどの症状を起こします。
異物の混入や逆さまつげ
ホコリや細かい砂、まつげなどが目に入って、ゴロゴロする異物感を生じることがあります。この場合、異物を速やかに排出させるために涙が出ます。また逆さまつげは、まつげが眼球に向けて生えている状態であり、まばたきの際に角膜や結膜がこすれてゴロゴロする異物感を生じさせます。逆さまつげによって生じた角膜の傷から感染して炎症を起こすことがあり、視力に影響する場合がありますので注意が必要です。
目の異物感を
引き起こす様々な疾患
目の異物感は幅広い眼科疾患で起こる症状です。代表的な疾患には、ドライアイ、細菌やウイルスなどによる角膜炎や結膜炎、瞼が腫れる麦粒腫や霰粒腫といったものもらい、花粉やダニなどによるアレルギー性結膜炎などがあります。
ドライアイ
目は加齢によって乾燥しやすくなりますが、近年ではパソコン・スマートフォン・エアコンの普及によって若い方にもドライアイの発症が増えています。ドライアイは加齢、乾燥した環境、目の酷使によるまばたきの減少などによる涙の不足や、涙の質の変化によって起こります。
涙は栄養や酸素を届け、目を保護するという役割を担っており、ドライアイになると角膜が乾燥して酸素や栄養が不足し、ゴロゴロする異物感、目の疲れ、かゆみ、痛み、充血などの症状を起こします。
細菌性結膜炎
細菌性結膜炎は常在菌である黄色ブドウ球菌によって生じているケースが多く、黄色っぽい目やにが増えるという特徴があります。ゴロゴロする違和感、充血、涙の増加といった症状を起こし、抗菌薬による治療が有効です。高齢者や幼いお子様は慢性化することがありますので、疑わしい場合には早めにご相談下さい。
ウイルス性結膜炎
(はやりめ)
アデノウイルスが原因となって生じるとされており、感染力が強いので周囲に感染を広げないための対策も重要な疾患です。糸を引くような目やにが大量に出て、異物感、瞼の腫れ、充血などを起こします。夏のプールでビート板やタオルの共有などからの感染を起こしやすい咽頭結膜熱(プール熱)では、目が真っ赤に充血し、目のかゆみや異物感といった目の症状に加え、のどの痛みや発熱、倦怠感、下痢などの全身症状を起こします。
角膜炎
コンタクトレンズの不適切な使用や乾燥や異物によって角膜に細かい傷がついて炎症を起こしている状態です。放置していると角膜の潰瘍や孔が開く穿孔を起こす可能性がありますので、注意が必要な疾患です。
麦粒腫
瞼の一部が赤く腫れ、異物感やかゆみ、痛みなどを生じる疾患です。主に皮膚の常在菌である黄色ブドウ球菌に感染して生じ、化膿して膿が溜まった場合には切開による排膿が必要になることもあります。麦粒腫は下記の霰粒腫と共に、「ものもらい」と呼ばれることがあります。
霰粒腫
(さんりゅうしゅ)
瞼の中に小さく硬いしこりができています。ゴロゴロする異物感を強く感じますが、痛みなどはありません。このしこりは脂肪を分泌するマイボーム腺が詰まり、脂肪や老廃物が溜まったものです。霰粒腫は細菌感染を起こすことがあり、その際にはしこり周囲の赤い腫れや痛み、かゆみなどを伴います。
アレルギー性結膜炎
アレルギー症状を引き起こすアレルゲンが結膜に付着して充血や異物感、強いかゆみなどを生じ、結膜のむくみを起こすこともあります。花粉や黄砂をアレルゲンとした季節性、ダニなどによる通年性に分けられ、アレルゲンを極力排除することが症状改善に最も有効です。また、コンタクトレンズの洗浄や消毒といったケア不足からアレルギー性結膜炎を発症するケースもあります。
結膜弛緩症
白目部分を覆う結膜が加齢によって緩んでしまい、だぶついてシワになった部分によって異物感や、理由なく涙が流れるなどの症状を起こします。改善するためには手術をお勧めしています。緩んだ結膜を切除し、涙の流れを改善する結膜弛緩症の手術は、片目で20分程度で可能です。
眼瞼内反症
瞼を支えている筋肉や靭帯といった組織が緩んで瞼が内側に向いてしまい、まばたきによってまつげが角膜をこすってしまう状態です。主に加齢によって生じ、まつげが眼球に触れる異物感、まつげにこすられて傷ついた角膜の痛みなどを生じ、進行すると角膜に孔が開く穿孔といった深刻な状態になって失明に至る可能性もあります。
治療では、緩んだ組織を縮める下眼瞼牽引筋腱膜という手術を行って、まばたきをしてもまつげが眼球をこすらない位置に調整します。瞼を支える組織の緩みには縦と横の方向がありますが、90%以上は縦の緩みを改善することで直すことができます。30分程度の手術であり、状態に合わせた適切な手術で改善できますので、お悩みがありましたらご相談下さい。
ぶどう膜炎
ぶどう膜は、虹彩・毛様体・脈絡膜をひとまとめにした名称で、この3つの組織に炎症が起きている状態がぶどう膜炎です。炎症の原因疾患は多岐に渡り、原因が分からないこともあり、難病による場合などもありますのでしっかり調べることが重要です。炎症を起こしている部分によって症状は変わり、視力低下、飛蚊症、充血、違和感などを生じることがあり、原因疾患によっては目以外の症状を伴うこともあります。
ものもらい
黄色ブドウ球菌などの細菌による感染によって生じる麦粒腫をものもらいと呼ぶことが多いです。また、脂肪を分泌するマイボーム腺の詰まりによって生じる霰粒腫を含む瞼に生じる腫瘍を幅広く含むこともあります。麦粒腫は細菌性ですので抗菌薬による治療が有効です。化膿して大きく腫れ、切開による排膿が必要になることもありますので、悪化を避けるためにも早期の受診をお勧めしています。
目がゴロゴロするときの
対処法とは
目を冷やす・温める
炎症によって生じている異物感の場合、濡れタオルで瞼を冷やすことで改善できる場合もあります。乾燥によって異物感が生じている場合には、逆にホットタオルを瞼の上に置くことで血流が改善し、症状緩和に役立ちます。こうした対処法を行っても改善しない場合には、治療が必要な疾患が原因となっている可能性がありますので、早期にご相談下さい。
眼科で診察を受ける
異物感が数日続く場合、原因に疾患が関与している可能性が高いです。放置していると深刻な症状を起こしたり、治療が困難になったりする場合もありますので、お早目にご相談下さい。
日常生活でも可能な
セルフケア・予防方法
目の乾燥を防ぐ
パソコンやスマートフォンなどの画面を長時間見続ける、または車を長時間運転する場合、集中していることで無意識にまばたきの回数が減少します。まばたきは涙を目全体に広げる役割を持っていますので、まばたきが不足すると目が乾燥します。画面を長時間見る際や長時間の運転では、まばたきを意識的に増やし、こまめに休息して目を休ませることが重要です。また、夜には涙の分泌が少なくなりますので、早めの就寝を心がけて下さい。
エアコンも室内を乾燥させますので加湿器や濡れタオルなどを使って周囲の湿度を保つようにしましょう。また、風が顔に直接当たる場合には風よけを設置できないか検討して下さい。
細菌やウイルスの
感染予防
石鹸でこまめに手を洗い、目をできるだけ触らないことが最も効果的な予防法です。また、家族が感染しやすいウイルス性結膜炎を発症している場合には、触れる可能性のある部分をこまめに消毒し、タオルなど生活用品の共有を避けるといった感染を広げないための対策が必要になります。
部屋を掃除して
アレルゲンをできるだけ
取り除く
アレルギー性結膜炎の場合には、花粉、ハウスダスト・ダニ・カビなどのアレルゲンを室内からできるだけ除去し、外から持ち込まないようにすることが症状緩和に最も役立ちます。空気清浄機を動かしてこまめな掃除を行い、ダニやハウスダストがアレルゲンの場合には布団・洗濯ものの外干しやこまめな換気が重要になりますが、花粉症の場合は飛散シーズン中の外干しや換気は逆効果ですのでご注意下さい。