瞼の腫れについて
目の周辺は瞼を含めて皮膚が薄く、痛み・かゆみなどの刺激を鋭敏に感じ、腫れ・むくみ・赤みといった異常も目立ちやすくなっています。瞼はまばたきで繰り返し動きますので、腫れがあるとそのたびに違和感を生じて強い不快感を伴うこともあります。
目は印象を大きく左右する部分ですので、小さなトラブルが大きなお悩みになってしまうこともあります。こうした症状に疾患が隠れている場合もありますので、瞼の腫れに関するお悩みがありましたらお気軽にご相談下さい。
瞼の腫れには眼科受診が
必要な場合も
瞼の炎症は自然に治るケースも存在しますが、周囲に感染を広げてしまう疾患や、進行して深刻な症状を起こす疾患などによって生じている場合もあります。どんな疾患であっても早期に受診して適切な治療を行うことで、より綺麗に、楽に治せる可能性が高くなります。
当院では幅広い眼科疾患に対応しており、瞼の腫れや赤み、しこり、充血、目やにや涙の増加、湿疹などの症状を丁寧に診察しています。気になる症状がありましたら、ご相談下さい。
瞼の腫れで早めの
受診が必要な症状
- 強い痛みを伴う
- 炎症を起こしている
- 涙や目やにが増加した
- 充血を伴う
- かゆみや痛みがある
- まばたきすると違和感がある
- 瞼に触れるとしこりを感じる
- コンタクトを使用している
特に早急な受診が
必要なく、様子をみても
問題ない症状
- 上記の症状がない軽いむくみ
※ただし、軽度のむくみでも状態が改善しない場合にはご相談下さい。
目元や瞼が腫れる原因
むくみ
睡眠不足や水分の過剰摂取、お酒の飲み過ぎ、塩分の過剰摂取などでむくみが起こることがあります。瞼はむくみが目立ちやすい部分ですが、足の皮膚を指でしばらく強めに押して、指を離した際にへこみがなかなか戻らない場合には腎臓疾患も疑われます。むくみは様々な疾患で生じますので、当院ではむくみの原因を見極めて必要があれば連携している内科や高度医療機関をご紹介しています。
眼窩脂肪ヘルニア
(眼窩脂肪脱)
眼球後部にある脂肪が結合の緩みによって前に押し出され、眼球結膜下や皮下に出っ張りが生じてる状態です。主に加齢によって生じ、痛みや機能的な問題はありませんが、見た目の印象を大きく変えてしまってお悩みがある場合には、手術で改善することが可能です。
かぶれ
目元の皮膚はデリケートで、弱い刺激も鋭敏に感じて腫れやかぶれを起こすことがあります。また、普段は問題なく使えている化粧品やつけまつげ用接着剤、ヘアカラー、洗顔剤などでかぶれを生じたり、少し強くこすっただけで強いかぶれを起こしたりといったことも起こります。特に、かぶれに強いかゆみや痛みを伴う炎症の場合には速やかな受診をお勧めしています。
コンタクトレンズの使用
コンタクトレンズは目に直接入れて使用しますので、洗浄や消毒が不十分な場合や、不適切に使用していると腫れなどの症状を起こすことがあります。視力に深刻な影響を及ぼす可能性もありますので、早めに眼科を受診して下さい。
また、水道水などに含まれることもあるアカントアメーバによる角膜炎は重症化しやすく、治療が困難で角膜が混濁して大幅な視力低下を起こし、角膜移植が必要になるケースも存在します。
コンタクトレンズを使用している場合、わずかな腫れなどの症状でもコンタクトレズの使用中止と速やかな眼科受診をお勧めしています。
アレルギー
ハウスダストやダニ、花粉などのアレルギーがある場合、瞼の皮膚はデリケートですのでアレルギー症状によって腫れを起こすことがあります。食品アレルギーなどの症状で瞼の腫れを生じることもあります。強い腫れを生じている場合には短期間で炎症改善が見込めるステロイドを使った治療を検討しますが、軽度の場合には抗アレルギー点眼薬による治療で改善していきます。
眼瞼炎
眼瞼は、目尻や瞼、まつげの生え際などを含み、この部分に炎症が起きている状態が眼瞼炎です。原因は、アレルギー、細菌やウイルス感染、皮脂分泌に関したトラブルなどがあり、原因や状態にきめ細かく合わせた治療が必要です。原因や進行状態によって症状も様々ですが、腫れや痛み、赤み、ただれ、まつげの脱毛などを起こすことがあります。
結膜炎
結膜は瞼の裏や白目の部分を覆っている薄い粘膜で、この部分に生じた炎症が結膜炎です。細菌やウイルス感染、アレルギーなどによって生じることが多く、違和感や異物感、かゆみ、痛み、腫れ、充血などを起こします。角膜へ影響を及ぼして視力低下に繋がる可能性もありますので、疑わしい症状があったら早めに眼科を受診し、完治するまでしっかり治すことが重要です。
涙嚢炎
涙は最終的に鼻へ排出されますが、目から鼻に抜ける涙道には涙嚢があって、排出される涙は一時的に涙嚢に溜まります。涙道が詰まってしまうと涙嚢に炎症が起きて膿が溜まり、目やにや涙が増えて腫れや痛みを伴います。抗菌薬で炎症を解消する治療を行いますが、こうした保存的療法では十分な改善が見込めない場合には手術を検討します。涙嚢炎の手術が必要な場合には、連携している高度医療機関をご紹介しています。
麦粒腫
瞼の一部が腫れる疾患で、毛穴や汗腺などに常在菌である黄色ブドウ球菌などが感染して生じます。瞼の赤みや腫れを生じ、化膿すると熱感や痛みを伴いますが、抗菌薬による改善が見込めますので、点眼薬、軟膏、内服薬などを使った治療を行います。ただし、膿の量や状態に応じて、切開による排膿を行う場合もあります。
霰粒腫
(さんりゅうしゅ)
麦粒腫に似ていますが、感染ではなく脂肪を分泌するマイボーム腺が詰まり、脂肪や老廃物が溜まったしこりによる腫れが生じます。麦粒腫と霰粒腫を「ものもらい」と呼ぶこともあります。霰粒腫はそのままでは痛みなどを起こしませんが、細菌感染を起こすと痛みや腫れなどの症状を起こします。また、しこりの大きさや硬さ、位置によっては角膜にダメージを与える可能性があり、その場合は手術を検討します。霰粒腫のしこりがある場合はできるだけ触れずに早めにご相談下さい。
目元や瞼の腫れに対する治療
問診で症状の内容や生じた時期と変化などについて詳しく伺った上で、原因を明らかにするために、視力検査、眼圧検査、角膜表面を詳細に観察できる細隙灯顕微鏡検査などを行います。必要があれば涙の量や質なども調べます。原因や状態に合わせた治療を行い、細菌感染が疑われる場合には抗菌薬処方を、強い炎症を起こしている場合にはステロイドによる治療を検討します。
瞼や目の周囲の腫れを
起こさないために
腫れの原因がむくみの場合には、ホットタオルで瞼を温めて余分な水分の排出を促し、入浴も有効です。また、過剰に水分が溜まっている状態ですが、適度な水分補給は必ず行うようにして下さい。なお、目元のむくみにはマッサージは厳禁です。むくみは飲酒、過剰な水分や塩分の摂取、アレルギー、うつぶせ寝など様々な原因で生じ、腎臓病などの内科疾患によって起こることもあります。まずは病気の有無をしっかり確認することが重要です。
外傷や炎症による腫れの場合には冷やしたタオルで冷やすことが有効です。
かぶれによる腫れは、刺激物質に触れたことが原因で生じます。体調によっては、これまで問題なく使用できたもので腫れやかぶれを起こすことがありますので、慎重に原因を見極める必要があります。